型枠工事の流れについて:基本的な工程と注意したいポイントを解説
建設工事で、しばしば耳にするのが型枠工事です。この工事は、生コンクリートを流し込むための型枠を作るのが目的です。
流し入れたコンクリートが固まった段階で、型枠を外すと、型通りの綺麗な建物が完成するわけです。
今回は、型枠工事の流れと注意点について、わかりやすく紹介します。
1.拾い出し:設計図作りが最初の工程
拾い出しは、どのような型枠を作るかを判断して図面に起こす最初の工程です。
まず、施工図面や設計書を参考に建物のデザインやサイズを把握します。
それから型枠の壁や柱、床の形状・寸法を割り出して、加工図を作ります。
固めてしまったコンクリートは修正が難しく、ここで失敗すると取り返しがつきません。
ちょっとしたズレでも大問題になるため、誤差数ミリの精密な作業が必要です。
加工図に間違いがないか、厳格な確認作業が欠かせません。
問題がなければ、加工図から型枠に必要な資材を拾い出して、発注します。
2.型枠材料の加工:届いた資材の下準備
資材は建設現場に搬入する前に別の場所で加工します。
あらかじめ材料を切り揃えて、建設現場で組み立てるほうが効率的です。
具体的には、木の合板と、桟木と呼ばれる角材を使いますので、加工図に基づいて切断・加工しておきます。
ここで注意点ですが、合板は専用のものが必要です。片面に表面処理がしてあって、
流し込んだコンクリートが張り付かないものを選びます。
コンクリートの表面を美しく、正確に仕上げるためには欠かせません。
なお、状況に応じて現場で加工する場合もあります。この辺りは臨機応変な対応が必要な部分です。
3.捨てコン施工:墨出し前の下準備
墨出しの前に、捨てコンクリート(通称:捨てコン)を打っておきます。
剥き出しの地面だと、正確に線を書けないためです。墨出しの精度や作業性を改善できるので、
「捨て」と呼ばれる割に重要な作業です。なお、捨てコンには鉄筋を用いません。
建物の基礎とは関係がなく、高い強度は必要ないのが理由です。
4.墨出し:現場に線や印を書く工程
加工図に基づいて、現場に基準線などを書き込んでいく作業です。桟木や合板などの配置を決め、
床面にガイドや指示を書いていきます。従来は墨壺に糸を浸してまっすぐに張り、
これを弾いて直線を書き込んでいました。現在はこの方法以外に加え、
レーザー式の測定器などを使って、正確に墨出しを行っています。
墨出しは慎重さと、工事業者の熟練を要する作業です。少しのミスが建物全体に影響を及ぼすため、
細心の注意が欠かせません。丁寧に水平・垂直を確かめ、確実に作業していきます。
墨出しが終わったら、基準線や印にそって、桟木を打ち付けておくのが重要ポイント。
これは敷き桟と呼ばれています。型枠を組み立てる時の目安になり、また、解体作業をスムーズに行うためにも重要です。
5.型枠の建て込み:合板などの資材を組み立てる
墨出しや敷き桟を頼りに予め加工しておいた資材を組み立てていきます。
こうして組み立てた型枠でコンクリートを成型しますから、この作業の良し悪しは、
建物の仕上がりを大きく左右する部分です。許容される誤差は一般的に3ミリ程度。
水平・垂直を正確に保つことが大切です。型枠を組み立てながら何度も点検・確認し、墨出しも繰り返し行います。
6.型枠の締め込み:型崩れを防ぐために必須
型枠を組み立てた段階では、まだ強度が不十分です。このまま型枠の中にコンクリートを流し込んだら、
圧力に耐えきれず変形・崩壊する可能性があります。コンクリートは比重が大きい分、
型枠にかかる圧力は生半可なものではありません。その圧力に負けないようにしっかりと締め付けを行い、
型枠の変形を防ぐことで、建物を正確に仕上げます。
固定にはフォームタイと呼ばれる金具や、単管パイプを利用するのが一般的です。
型枠には何トンもの力がかかる事例も珍しくないため、これらの器具を充分に使いこなすことが欠かせません。
7.コンクリート打設:生コンを流し込む
充分に締め固めた型枠に、いよいよ生コンを流し込んでいきます。その前に注意が欠かせないのが、
建枠の清掃と点検。コンディションをベストに保つことで、美しい仕上がりが得られます。
実際の流し込み作業は、別の専門業者に依頼するのが一般的です。
コンクリートは気を付けないと材料が分離したり、強度が低下したりする繊細な代物。
施工中はバイブレーターを使って材料の分離や、気泡の発生も防いでいきます。
当然、丁寧な作業が要求されますが、硬化が始めるまでに作業を終える必要もありますから、迅速性も欠かせません。
生コンを流し込んでいる間は、型枠職人や大工が繰り返し点検していきます。
生コンは比重が大きくて流動性があるため、流し込む時に大きな圧力が加わるのです。
このため、つきっきりで異常の有無や、躯体の精度を確かめます。ズレや歪みを見逃すと、
これまでの苦労は水の泡。もちろん、大きな損害に繋がりかねません。常に気を抜かず、見守り続けます。
現場の職人にとって、もっとも気を使う作業と言えそうです。
8.型枠の解体:完成した躯体が姿を現す
一定の養生期間を経て、コンクリートの強度が充分になれば、型枠を解体します。
工具を使って合板などを剥がしていきますが、これらの資材は再利用できるので慎重に。
できるだけ丁寧に扱って、破壊しないよう注意します。
最初に壁を外して、次に梁やスラブに取り掛かるのが一般的な流れです。かなり危険な作業で事故が生じやすいため、
何日もかけて計画的に作業を行います。解体が進むにつれ躯体の仕上がりが明らかになるので、
型枠業者にとって緊張する瞬間です。
9.最後の作業と現場の引渡し
以上で躯体は完成して型枠業者の仕事は完了となりますが、まだ、建設工事は続きます。
引き続き仕上げ業者などが作業するため、邪魔にならないように型枠を撤去し、現場を綺麗にしておきます。
10.型枠工事の注意
安全な作業のためには、作業環境を整えることと、資材や器具は適切に扱うことが欠かせません。
まず、作業現場はしっかりと整理して、型枠の部材や工具を使いやすくします。
色々と物が散乱しているとうっかりミスに繋がるので、良くありません。
次に、資材や工具は扱い方を間違えないよう、要注意です。足場を使う時には型枠に緊結するのは避け、
強風や転落にも注意が欠かせません。曲がったり、錆びているフォームタイも使わないことが大切です。
後は作業手順を守ることも重要。特に解体作業では手順を守らないと、すぐさま事故に繋がりかねません。
まとめ
精度の高い躯体に仕上げるためには、色々な場面で細やかな配慮が欠かせません。
最後の掃除まで丁寧な業者もあれば、充分に養生せずに解体工事をはじめる場合もあります。
型枠業者のノウハウや品質によって、
作業の安全性や仕上がりが変わってくるので、ぜひ、信頼できる業者を選んでいきましょう。
熊本県の型枠工事は有限会社有働建設工業にご相談下さい。
会社名:有限会社有働建設工業
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