型枠工事で活躍するパイプサポートとは?その種類や注意点を解説
建築工事、特に基礎工事に欠かせない型枠工事ではさまざまな資材が使用されており、そのなかにはパイプサポートと呼ばれる資材があります。
しかし、具体的にどのような方法で用いられているのか分からないという方も、建設業に従事する方でも少なくありません。
そこで今回は、建設業でサービス部門など直接型枠工事とは接することのない方にとって、基礎知識となるパイプサポートとはどのような資材なのか解説していきましょう。
パイプサポートとはどのような部材なのか?
パイプといえば、足場工事に使用されるイメージがあります。
しかし、型枠工事でもパイプを利用する場面は多く、その一つに数えられるのがパイプサポートなのです。
パイプサポートは、簡単にいえば型枠の板を支える部材です。
非常に多くの場面で利用されるため、型枠工事向けの問屋でも定番の商品になっています。
もう一歩進んで解説すると、スラブ(床の荷重を支える鉄筋コンクリート造の板状になっている部分)や梁(はり、建物を横から支える)といった装置です。
内管と外管の二重構造になっているのが特徴で、丸い鋼管が2本つながっている構造のため、長さを自由に変えられるメリットがあります。
1尺から9尺までの長さが用意されており、現場や用途によって選択することで最適な施工が可能です。
操作も簡単で、ピンを刺したら目ねじを締めることで固定ができてしまいます。
現場では構造を把握している作業員が扱うのであっという間に調整して設置されていく部材でもあります。
パイプサポートの種類は?
パイプサポートには、さきほども紹介したように1尺から9尺までのパイプサポートが用意されています。
ただ、1尺と2尺の間には1.5尺といわれる部材があり、8尺の規格がないため合計で9種類のパイプサポートの中から選びます。
ただ、長さによって重量も異なり、目安として次のような重量の設定です。
1尺=4㎏
1.5尺=5㎏
2尺=7㎏
3尺=8㎏
4尺=10㎏
5尺=11㎏
6尺=12㎏
7尺=13㎏
9尺=15㎏
また、耐荷重は仮設工業会認定のものが7尺で5000kg、JIS規格は4500kgに設定され、いずれも国の厳しい基準をクリアしています。
また、ある程度の規模の型枠工事では5~7尺のサイズをよく用います。
しかし、長さが足りない場合は中間つなぎや長尺サポートなどの金具を用いて効率的に作業していくことも可能です。
このように種類が多いだけでなく金具でさらに自在な長さにできるのも、パイプサポートの魅力といえるでしょう。
現場ではこのように臨機応変に対応することも行われているのです。
パイプサポートを利用するにあたっての注意点
基礎工事で簡単に扱えるパイプサポートですが、次のような注意点があります。
・重心の扱い
・破損のリスク
・修理後の強度
・木製との併用
・海外メーカーのパイプサポート
重心の扱い
まず、パイプサポートは鉄のパイプで構成された長い部材です。
そのため、重心を意識しないと問題が発生しやすいとされています。
偏心重心になることが多くあります。
偏心荷重とは、重心からずれた位置に重みがかかる現象のことで、余計なストレスが加わる注意すべき状況です。
これを回避するためには振り止めブレースと呼ばれる金具を用意して設置する必要があります。
また、偏心荷重の発生を予防するためにパイプサポート部分で受けていた重みを同一にするといった工夫も型枠工事では求められます。
破損のリスク
次に破損のリスクにも注意しましょう。
型枠工事の部材として比較的頻繁に再利用されるのがパイプサポートです。
そのため、繰り返し型枠工事で組立や解体をしていると、パイプ部分に傷がついたり、へこみや曲がりが発生することもあります。
型枠工事で利用する前に、破損の有無をチェックしたうえでの利用が重要です。
修理後の強度
修理したあとの強度も注意しましょう。
パイプサポートは、現場で破損した場合、会社などで火入れ修理をすることがあります。
火入れ修理とは部材などを溶接のような手法で修理することですが、このタイプの方法で修理を行うと、パイプサポートが確実に強度を低下させてしまうのです。
そのため、もし火入れ修理で溶接痕があるパイプサポートを使用する場合は、そこまで負荷のかからない部分のパイプサポートとして用いるようにする必要があります。
木製との併用
現場によっては、パイプサポートと木製の部材との併用で対応することも珍しくありません。
ただ、こういった運用を行うと、耐荷重が異なるので、パイプサポートへ予想外の負荷がかかったり、木製の部材が破損してしまったりといったことが起こります。
そういった危険性があるので、併用する場合は、負荷の程度についても注意して運用しなければなりません。
海外メーカーのパイプサポート
近年はコストカットの影響で海外メーカーのパイプサポートを使用するケースもみられるようになりました。
しかし、こういったパイプサポートは、日本の認定基準を満たさないパイプサポートが意外に多くあり、いつもの感覚でパイプサポートを使用したら破損したといったことも珍しくありません。
さらにリース会社でもこういった製品を運用しているケースもみられるので、海外製のパイプサポートであっても、必ず仮設工業会認定のような仮設部材の関連機関から合格認定マーク取得している製品を利用することが、安全に施工するうえでのポイントです。
まとめ
型枠工事ではさまざまな部材が利用されていますが、その中にパイプ2本で構成されたパイプサポートと呼ばれる部材があります。
この部材は、長さをある程度コントロールできることや荷重を支えることから現場では重要な役割をはたしている部材といえます。
そのため、長さに応じてさまざまな種類が用意され、中間つなぎや長尺サポートといった部材で長くすることもできるなど応用力のある部材です。
ただ、注意点として強度や荷重のバランス、さらには規格をクリアしているかといった品質が挙げられ、現場では安全なパイプサポートを利用するようにしなければなりません。
このように利用方法に注意すれば、パイプサポートは型枠工事の現場で大活躍する部材といえるでしょう。
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